ARTA GALS史上最長となる7年間の活動。 真木しおりは、その圧倒的な存在感とクールな美しさで、ARTA GALSのブランドイメージそのものを体現し続けてきました。 「ついていく立場」から「導く立場」へ。不安を抱えながらスタートした7年目のシーズン、彼女は何を感じ、何を思いながらサーキットに立っていたのか。その胸の内を明かします。

「ついていく」から「考える」へ。気を引き締めてのスタート
7年目となる今シーズンの開幕、正直に言うと私は大きな不安を感じていました。 これまでチームを引っ張ってくれていた先輩たちが卒業し、長年活動しているメンバーが私一人になってしまったからです。 メンバー構成も6人から4人体制へと変化しました。これは私が1年目の時以来の少人数体制です。人数が減るということは、一人一人の個性がより際立つということ。
「もう、誰かについていけばいいわけじゃない」 自分が先頭に立ってチームを見なければならないという責任感と、個々が輝くための立ち回り。どう動くべきか、どうあるべきか。自分の中で思考を巡らせ、気を引き締めて挑んだ1年でした。

4人だからこそ深まった絆、そして特別な存在
メンバーが4人になったことで、物理的に一人一人とコミュニケーションを取る時間は格段に増えました。 特に今年は、一之瀬優香ちゃんとプライベートでもよく遊ぶようになりました。年齢が近いこともあり、気が合うんです。 仕事のパートナーとしてだけでなく、プライベートな時間も共有できる仲間の存在は、プレッシャーのかかる私の心を支えてくれる大切なものでした。

レジェンドたちの姿から学んだ「ファンへの愛」
長年チームに在籍していても、ARTAには毎回驚かされることがあります。それは、鈴木亜久里総監督と土屋圭市エグゼクティブアドバイザーのファンサービスです。 モータースポーツ界のレジェンドであり、「大御所」と呼ばれるお二人が、キッズウォークやピットウォークでは率先してファンの方を招き入れ、笑顔で写真撮影に応じている。
「応援してくれている人に感謝を伝える」という姿勢を、トップに立つお二人が誰よりも大切にされているんです。 そのイズムはドライバーやチーム全体に浸透していて、だからこそARTAにはファンの皆様との強い一体感があるのだと、7年目にして改めてその凄さを実感しました。

悔しさと喜びが入り混じった表彰台、そして「異例」の鈴鹿
レースで特に印象に残っているのは、オートポリス戦です。 16号車は予選11番手からのスタートでしたが、そこから驚異的な追い上げを見せて3位表彰台を獲得しました。 まさかあそこまで上がれるとはという驚きと喜び。一方で、終盤まで2位を走っていたのに最後に抜かれてしまった悔しさ。その両方の感情が入り混じった、忘れられないレースです。
そしてもう一つ、第5戦の鈴鹿も個人的には衝撃的でした。 7年間ARTA GALSをやっていますが、スタートセレモニーに「パラソル」を持って入場したのは初めてだったんです(笑)。 通常はボードを持つのが私たちの役割なので、パラソルを持って並んでいる自分たちの姿がシュールで面白くて。ある意味、とてもレアで印象深い思い出になりました。
オフシーズンは、朝3時起きの「トラック野郎」へ
レースが終わるとオフシーズンに入りますが、私にとっての「オフ」は、ある意味でシーズン中よりもハードな日々になります(笑) 普段から行っている大型トラックの運転の仕事にコミットするため、朝3時に起きて現場へ向かう生活です。 「オフシーズン」というよりは、早起きと体力が勝負の「トラック野郎」への完全切り替えですね(笑)もちろん、その合間に大好きな格闘技をしたり、旅行に行ったりしてリフレッシュもしつつ、仕事もプライベートも全力で駆け抜けます。

7年間支えてくれた、全てのファンの皆様へ
今年でARTA GALSとして7年目が終わりました。 右も左も分からなかった1年目の「ほぼ新人」だった私が、こうして素晴らしいチームの一員として成長し、レースの楽しさを知り、ここまで走り続けられたのは、間違いなくファンの皆様のおかげです。
初年度からずっと変わらず応援してくださっている方、そして「これからもARTA GALS続けてね」と声をかけ続けてくださった方。その言葉の一つ一つが、私の心の支えでした。 7年間という長い時間を私と共に歩んでくださって、本当にありがとうございました。
2025 ARTA GALS 真木しおり

「プロフェショナル」「強くて美しい」 現在確立されているARTA GALSのイメージは、真木しおりという存在なくしては語れません。
7年間、常にチームの象徴として先頭に立ち、その圧倒的なビジュアルと、飾らない実直なキャラクターでファンを魅了し続けました。
彼女が作り上げた「かっこいいレースアンバサダー」の像は、これからの後輩たちにとっても大きな道標となるはずです。 ARTA GALSの歴史そのものと言える7年間の活動に、心からの敬意と拍手を送ります。本当にお疲れ様でした。





